買い物ができるという当たり前を守るために

先週、新たな買い物困難地域への出店をしました。

そこは仙台市内から車で15分ほどの場所。

決して遠い地域ではありませんが、車やバスに乗らなければ歩いて買い物へ行くには不便な場所です。

かつて多くの人が暮らしていたであろう団地。

子どもたちの声や、買い物帰りの人々で賑わっていたはずのその場所は、今では静まり返り、歩いている人をほとんど見かけません。

スーパーや商店がなくなり、車を運転できない方にとっては、日々の買い物さえ簡単ではないのです。

移動販売をしていると、「ここまで来てくれるから助かる」「買い物に行く場所がないんです」

そんな言葉をいただくことも少なくありません。

しかし、この問題は決して特別な地域の話ではありません。

私自身の親も高齢になり、買い物に行く場所が少なくなったことをよく口にするようになりました。

たとえお店に行けたとしても、最近はセルフレジが増え

「やり方が分からなくて焦ってしまう」

「後ろに人が並んでいるとゆっくりできない」

そんなふうに、買い物そのものが負担になってしまうこともあるようです。

また、デイサービスなどの施設へ出店した際には、職員の方からこんなお話を聞きました。

「高齢になると、買い物をする機会自体が少なくなってしまうんです」

自分で選び、自分でお金を払う。

それまで当たり前にしてきた買い物も、家族に止められてしまうことがあるそうです。

確かに、高齢になると判断力が鈍り、必要ではないものまで買ってしまうこともあるかもしれません。

実は私自身も、母が買ってきたものを見て「これ、いつ使うの?」と、きつく言ってしまったことがあります。

今振り返ると、たとえ野菜ひとつであっても

自分で選んで買うという小さな喜びを奪ってしまったのではないかと反省しています。


人が集まる場所が少なくなっている

日本では今、急速な高齢化と人口減少が進んでいます。

その影響で、地域によっては暮らしの基盤そのものが少しずつ弱くなっていることを感じます。

移動販売を続けていると、そうした現実を日々目の当たりにします。

けれど同時に、地域にはまだ人と人のあたたかいつながりが残っていることにも気づかされます。

販売場所では自然と人が集まり、「久しぶりだね」「元気だった?」

と声を掛け合う姿が見られます。

野菜を買うだけでなく、少し立ち話をしたり、近況を話したり。

ほんの短い時間ですが、そこには小さな交流の場が生まれています。

これからの時代に必要なのは、便利さだけではなく

人と人が顔を合わせられる場所なのかもしれません。


私たちにできること

私たちにできることは決して大きなことではありません。

地域を回りながら、安心して食べられる野菜を届けること。

そして、人が少しでも集まり、顔を合わせられる場所をつくること。

その積み重ねが、これからの地域の暮らしをほんの少しでも支えることにつながればと思っています。

移動販売「ichi」はこれからも**食と人をつなぐ小さな市場(いち)**として、地域の皆さまのもとへ野菜を届けていきます。